むかしむかし、2天の3神さまが、4せかいじゅうの5どうぶつにおっしゃいました。「今度、どうぶつの中から5十二ひき6えらんで、一年ずつ、7人間の4せかいを8まもってもらう。さきに私の所に着いたものから、きめていく。十二ひきの中に入りたいものは、一月十二日に、私の所にあつまらなくてはいけない。」これを知ったどうぶつはみんな自分が一番になろうと思って、その日の来るのを待っていました。
ところが、ねこというどうぶつは、いつもいろいろなことをすぐ忘れてしまって、その日がいつか忘れてしまいました。ねこがこまっている時、ちょうど道でねずみに会いました。ねこは、ねずみに神さまの所にあつまるのはいつかと聞きました。ねずみは、ねこがきらいではなかったのですが、自分が一番になりたかったので、「それは、一月十三日です。」と一日遅い日を教えてやりました。
ねずみは、自分の家へ帰って行きました。ねずみの家は、1牛の家の9てんじょううらにあったそうですが、ねずみが帰った時、牛はもう10出発の11よういをしていました。「牛さん、牛さん、もうお出かけなんですか。」とねずみが聞きました。牛は、「ぼくは、あしが遅いから、今夜のうちに発たなくては、間に合わないんだ。」と言いました。ねずみは、小さなからだですから、牛の荷物の中に入りました。牛は、ぜんぜんそのことに気がつかずに、夜の間ずっと歩きました。牛が神さまの12ごてんに着いた時、まだだれも来ていませんでした。牛が「自分が一番になった」と思った時荷物の中からねずみが出て来て「一番はねずみでございます。」と言いました。牛は、はらがたってしかたがありませんでした。
ところが、もっと13ひどかったのはねこでした。ねずみに教えてもらった十三日にねこは神さまの所へ行きました。ねこは、だれも来ていないので、自分が一番だと思いました。神さまのごてんの14もんの中に15入ろうとした時、16門番が言いました。
「神さまが17順番をおきめになる日は、きのうだった。順番はねずみが一番で、牛、1とら、1うさぎ、1たつ、1へび、1うま、1ひつじ、1さる、1にわとり、1いぬ、1いのしし だった。22ねぼけていないで、よくかおを洗って下さい。」ねこは、その時はじめて、ねずみに18だまされたと知ったのです。
それから、ねこはいつもねずみを19見れば、20とびかかって21つかまえるようになりました。ねこがいつもかおを洗っているのは、門番が「ねぼけていないで、よくかおを洗って下さい。」と言ったからだそうです。